ビジネス書がブームだといいます。自分の能力を高める、仕事で成果を出す、といったものが流行っているようです。不安定な経済状況を反映しているのでしょう。
そうしたブームから思い出すのは、ビジネスと一見なんの関係も無さそうな本、伊勢田哲治『哲学思考トレーニング』(ちくま新書)です。
この本はおそらく書名の「哲学」という言葉の魔力のせいで本来届くべき層に届いていないのではと思います。
本書にしても、のっけからこう言っています。
「哲学についてのイメージはいろいろあろうが、哲学が「役に立つ」と思う人はあまりいないだろう。」
だけども、哲学というものは(少なくともその一部は)、思考のスキルを身につけることであって、実用的にもなり得る、と著者はいいます。
本書の冒頭で著者はこんなエピソードを掲げています。かいつまんでいうと、日本からアメリカに留学した学生が、哲学なんて専攻しても一般企業に就職なんてできっこない、とこぼした。すると相手のアメリカ人が、哲学を学んだ人はアメリカの企業では喜ばれるはずだ、なぜなら全体的な状況をとらえて分析する能力が身についているから、と言ったというのです。
さあ、そこのビジネス書好きの貴方、本書を読みたくなってきませんか? (笑)
小手先の(怪しげな)テクニックよりも、考えることのプロたちが長年かけて磨いてきた思考方法を身につける方が、どこでも通用するスキルになることでしょう。
本書は哲学の研究者が書いたものだけども、一般向けに読みやすく書かれているので、あまり抵抗なく読めると思います。
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