「電子書籍のための文字コード技術入門」

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そういう名前の本があるわけではありません。これは、少し前にTwitterで、名前の前に「電子書籍」をつけてみるというお題が出ていたときにふと思い付いたものです。

実際のところ、電子書籍だろうと何だろうと、文字コードそのものが変わるわけではない。それは当然のことです。

にもかかわらず、電子書籍を前提に文字コードを語るとしたらどうなるだろうかと考えると、ひとつ言えることは、新JIS漢字(JIS X 0213)の重要性がより高まるということです。

新JIS漢字の必要性にあまりピンとこない人というのは、例えば情報システム開発のような仕事をしていて、仕様書や進捗報告なんかの業務文書で、JIS第1・第2水準以外の漢字なんて使うわけがない、という具合に思っているのかもしれません。それはそれで、ある程度正しい。(本当は、仕事のメモを取るうえでJIS X 0213の記号類は大変便利なのですが、それはとりあえずおいておきます)

けれども、書籍一般に使われる文字ということになれば、事態は一変します。漱石の『我輩は猫である』や芥川龍之介の『蜘蛛の糸』のような誰でも知ってる作品にも第3・第4水準漢字は出てくるわけですから。

青空文庫に入っているような明治や大正の古い作品に限りません。このブログで紹介した例をいくつか挙げれば、

といった書籍に、JIS X 0213で追加された文字が使われているのです。このリストを作っていて、あれま、あの本が入ってないな、というのもいくつか思い付きます。例えば、吉川英治『三国志』や、野尻抱影『日本星名辞典』には第3・第4水準漢字がいくつも出てきます。

電子書籍のためには、新JIS漢字は必須アイテムだといっていいでしょう。本の制作者が外字だと思っていた文字も、その多くは(包摂され得るものも含めて)新JIS漢字に入っているものと思われます。

ああ、おっと、そういえば、『プログラマのための文字コード技術入門』という本にも、新JIS漢字はふんだんに使われています。なにしろ著者はEUC-JIS-2004で原稿を書いていたくらいですので。「魹ヶ崎」やら「𩸕網代」やらのような目立つもの以外にも、「摑む」のような言葉に地味に使われていたりもします。

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