自転車の最近のブログ記事

ここ30年余りわが国では自転車が歩道に上がるという緊急措置が常態化してしまっているわけですが、さすがにその弊害が無視できなくなり、最近警察庁が自転車は車道という原則に立ち返ろうとしています。これは正常な動きだと思います。

もっとも、車道では自動車がわがもの顔で走っているわけですから、そこに自転車で乗り込んでいくのは、正当な行為とはいえ、少なくとも最初は勇気がいることでしょう。

そこで、自転車が車道を走りやすいように、自転車レーンの整備が求められるわけです。

ところが、いま国内各地で実験的に作られている自転車レーンには設計のよくないものが多いと聞きます。よくない自転車レーンには却って出会い頭の事故を招くなどの問題があります。

では自転車活用の進んでいる各国ではどのような自転車レーンを作っているのでしょうか。そういう問題意識のもとで、下記のページを作ってみました。

YouTubeから世界のいろいろな都市の自転車レーンの動画を集めてきたものです。どうぞご覧ください。

自転車レーンはどうあるべきか、という議論の種になればと思っています。

ただし、乗り物酔いする方は、連続して見るのは避けた方がいいかもしれません。私は少し酔いかけました。

先日25日、警察庁が、自転車の車道走行の原則を徹底するよう全国の警察本部に指示したことがニュースとなりました (例: 時事ドットコム 自転車の車道走行徹底へ=ルール違反是正へ摘発強化−警察庁)。

もともと、自転車は車両の一種であり、本来は車道を走るものでした (本当は今でもそうです)。しかし、1970年代に自動車が急増したことを受けて歩道走行を例外的に特定の歩道で認めるようになり、そこからなし崩し的に自転車の歩道走行が横行するようになっていました。

今回の警察庁の指示は良いことだと私は思います。

しかし、自転車で車道を走るのは怖いと思っている人も多いでしょう。私もかつてはそうでした。

そこで、自転車が歩道を走ると何が問題なのかを簡単にまとめてみましょう。直感的に怖いと思うのと、実際上の危険とは、必ずしも一致しません。

  1. 歩行者への危険。交通は弱者優先の原則が守られるべきです。すると、歩道は交通弱者である歩行者のためにあるということになります。歩行者の中には、ベビーカーや視覚障害者もあります。自転車の歩道走行はこれら交通弱者に脅威を与えることは明白です。弱者保護のために、自転車は歩道を走らず、車道を走ることが必要です。
  2. 自転車の交通事故の危険。意外かもしれませんが、自転車の歩道走行は、自転車と自動車との交通事故の原因となります。なぜなら、自転車の交通事故の多くは交差点で起きていますが、自転車が交差点を渡るには一旦歩道から車道に出なければなりません。歩道上の自転車は車道の自動車から認知しづらいため、出会い頭の事故の原因となるのです。自転車自身の安全のために、自転車は歩道を走らず、車道を走ることが必要です。
  3. 進行方向の不明確さ。自転車通行可能な歩道上では、歩道の車道寄りを走ることが求められていますが、この規定自体に問題があります。「対面通行、かつ、常に車道寄り」ということは、車道寄りの歩道で自転車同士が正面衝突を起こしてしまいます。正しく自転車通行をマネージするためには、進行方向をはっきり決めなければならないのに、歩道走行ではそれが完全に欠落しています。一方、車道ではもちろん、自転車は左側通行であることは明確です。歩道上の自転車の混乱を避けるために、自転車は歩道を走らず、車道を走ることが必要です。
  4. 自転車本来の走行能力の発揮。自転車は誰でも時速20km以上で走ることができますが、そんなスピードで歩道を走るのは危険です。道路交通法では、自転車通行可能な歩道を走る場合は徐行するように求められています。つまり、法律上も実際上も、歩道では自転車本来の走行能力を発揮することはできません。自転車本来の能力を活用するために、自転車は歩道を走らず、車道を走ることが必要です。

これだけのことを理解すれば、自転車が車道を走るべきであることは十分納得されるのではないでしょうか。

もちろん、車道の自転車レーンの整備を進めることも大事です。これはおおいにやっていただきたい。けれども、自転車レーンができるまでは車道を走らないというのは極端すぎる。その間、上記のような問題に手をつけられないことになってしまいます。自転車で車道を走りつつ、自転車レーンの整備も行うという、両方を同時に進めることが大事でしょう。

車道を走るのが怖いというのは、多分に慣れの問題があると思います。肝心なことは、進路変更のときに必ず後方を確認すること、必要に応じて手信号で後続車両に進路変更を知らせることです。

啓蒙されることは読書の醍醐味であると思います。同じものを見ても昨日までとは全く違うものとして認識せざるを得なくなるような、世界がガラリと変わるような体験。俗な言い方をすれば目から鱗が落ちるという感覚。蒙を啓かれたくて私たちは日々読書しているのかもしれません。

疋田智『自転車生活の愉しみ』は、そんな体験を与えてくれた一冊でした。

自転車というありふれた物のことを、私はこんなにも誤解していたのか。世界では自転車をめぐってこんなことになっていたのか。そんな思いでいっぱいになりました。

私が自転車に乗るようになったのはこの本がきっかけです。書店をブラブラしているときに何気なく本書を手に取らなかったら、私は今でも自転車に乗っていなかったか、もし乗っていたとしても非常に間違った乗り方をしていたかもしれません。

本書はもともと東京書籍から2001年に出版された本です。以来10年にわたって読み続けられています。自転車がブームだといわれて久しくなりますが、本書は間違いなくこのブームの火付け役だったと確信できます。

本書の特徴のひとつは、ヨーロッパの自転車先進都市の事情についての記述があることです。この部分、なにしろ10年前のものなので、この10年間の自転車事情の進展の補足が欲しくなるところではありますが、基本的な事項は今でも共通のはずです。特に、街づくりや道路整備にかかわる人には是非読んでほしいと思います。

非常に残念なことながら、今の日本では自転車について正しく理解されておらず、そのことが都市内交通の問題を引き起こしています。そういう現状があればこそ、本書がより一層多くの読者を得るべきだといえるのです。

自転車というものを、駅までラクに行くための簡易な手段だと思っている人には、是非本書を手に取って、目から鱗を何枚も落としてほしいものです。

ここ1週間くらいで、民放とNHKのテレビで、ノーブレーキピストの問題を取り上げた番組を3回ほど見ました。

ノーブレーキピストというのは、自転車のトラック競技に使われるピストと呼ばれる種類の自転車で、ブレーキをつけていないものです。トラック競技ではブレーキをつけないのですが、公道を走るにはブレーキをつけないと道路交通法違反になります。無論、法律以前の問題として、そもそも危険であることはいうまでもありません。

ブレーキがないのにどうやって止まるかというと、ペダルを逆向きにこぐ力を与える(バックを踏む)仕組みになっています。日常見る自転車は、こいで前進している途中にペダルを止めても車輪だけ回り続けるようになっています。一方ピストはペダルが車輪の動きと連動するので、前進しているときはひたすらこぎ続けないといけないし、止めようと思ったら逆向きの回転力を与えてやる。後ろにこげば後ろに進む、ということになります。

テレビで実験していたのですが、ブレーキをつけたピストとつけていないピストとで、制動力にどれくらい差があるかというと、もちろん格段に違うわけです。

販売店では法律違反のものを売るわけにはいかないから、ピストにもきちんとブレーキをつけて売るのですが、買ったいったチャラい兄ちゃん(←想像)が、後で外してしまうのだそうです。

こういう困った自転車が出てくると、他のスポーツタイプの自転車までいっしょくたにされて「ああいうの(ドロップハンドルの自転車)は危ない」という風潮になる可能性があります。困ったものです。

テレビを見ていて思ったのですが、視聴者のうちピストとロードバイクの区別がつく人はどれくらいいるのでしょうか。どうかすると番組製作者ですらよくわかってないんじゃないかという気さえしてきます。

こういうときのマスコミ的常套句として「暴走自転車」というのがあります。止まるのが困難という意味ではノーブレーキピストは暴走自転車といっていいかもしれない。でも、「だから自転車はゆっくり走れ」ということになってしまうと、自動車の代替としての自転車の可能性を大きく損なうことになりかねません。「歩道の暴走自転車」なんてのは大体において、車道を走ればどうということのないスピードです。歩道を走っているから問題なのであって、車道(の左側)を走れば良い。

自転車が車道を走るのは危ないと思っている人がいるかもしれませんが、それは素朴な思い込みにすぎません。ドイツ・フランクフルトの道路交通局の人は、「統計上は自転車が車道を走ると事故は起きにくい」とはっきり言っているのです (毎日新聞、「銀輪の死角:欧州の取り組み/2 フランクフルト(ドイツ)」)。

ノーブレーキピストの問題はそれはそれとして対処が必要でしょうが、ピストはおそらく一過性のブームであろうと思います。自転車の安全ということでより長期的・本質的に必要なのは、自転車が歩道ではなく車道を走るという原則を取り戻すこと、そして車道に片方向の自転車レーンを設置することです。これを忘れてはならないでしょう。

自転車が安全に走るには道路はどうあればいいかということは、疋田智『自転車の安全鉄則』に詳しく論じられています。この種の議論には必須の文献であろうと思います。

環境や健康に良い交通手段として自転車が注目されています。大震災後、ますます自転車が見直されています。しかし、日本の道路はまだまだ自転車で走りやすいとはいえないのが実情です。

自転車レーンの整備を行っているところもありますが、必ずしも有効な自転車レーンとなっていないものも少なくないと聞きます。

どんな自転車レーンが良いのかについては、以前にも紹介した本、疋田智『自転車の安全鉄則』(朝日新書)で詳しく論じられています。

ここでは、私なりにそのエッセンスを短い言葉で表してみようと思います。

  • その1: 車道レーン

自転車レーンを車道に設置するのか、歩道に設置するのか、という話。車道に設置するのが望ましいということです。

歩道上にレーンを作ってしまう自治体もあるようですが、これにはいろいろと危険性や問題が考えられます。

例えば、歩道上のレーンは得てして歩行者から無視されてしまい、歩行者が立ち入ってしまうということがあります。これでは意味がない。これは歩行者への周知徹底をすればすむ話かもしれませんが、それだけではない。

自転車の歩道走行が危険な理由として、交差点で自転車が歩道から車道に出るときに自動車から認知しづらいということが挙げられます。歩道上の自転車レーンはこの問題については全く解決しません。特に、車道と反対方向に歩道上の自転車が走っているときには、車道の逆走と同じ効果になってしまい大変危険です。

自転車レーンは車道の左端に設けるのが良いパターンです。なぜ左端かというと日本は車両が左側通行だからであって、右側通行の国では右端になります。

  • その2: 片方向レーン

レーンの中を自転車がどちら方向に走るのかという話です。レーンの中では、車道と同じ向きにのみ走るのが妥当です。が、レーンの中をどちら向きに走っても良いという自転車レーンを作ってしまう自治体もあるようです。

双方向になっていると当然、その中の自転車は正面衝突の危険にさらされることになります。レーンが狭い場合はなおさらです。また、交差点において双方向レーンは車道の逆走と同様の状況を作り出し、出会い頭の事故を誘発することが考えられます。

双方向レーンを作ってしまう人の頭には、どちらにも進めた方が便利だろうという親切心が実はあるのかもしれません。しかし、逆走は危険です。必要に応じて道路の反対側に渡れば良いのです。原付に乗るときはそうするでしょう。それなら自転車だって本当は同じなのです。

  • その3: ペイントレーン

レーンを物理的にどのように設置するのかという話です。ガードレールなどで車が侵入できないように覆ってしまうよりも、単に路上に線を引いたりペイントしたりしただけの方が実は安全だという議論があります。

自転車がガードレールなどで覆われていると、自動車のドライバーからは心理的に遠ざかってしまい、自転車への認知が悪くなると考えられています。自転車が別の場所にあるものだと思ってしまうと、注意が向かなくなってしまうというわけです。自転車にとって路上を安全に走るコツは、自動車から早く確実に認知れさること、要は目立つことです。それの妨げになることは良くないのです。

以上です。自転車レーンを設置するときは、上記の3点、車道レーン、片方向レーン、ペイントレーンというポイントを念頭に置くと、安全なレーンになることでしょう。

5月25日放送のNHK「クローズアップ現代」は、「"ツーキニスト" が世界を変える」と題して、自転車交通を取り上げていました。見たという方もいるでしょう。

ここでいう「ツーキニスト」とは、正確を期すならば「自転車ツーキニスト」という疋田智氏による造語で、自転車で職場に通勤する人のことを指します。「ツーキニスト」では単に「通勤する人」になってしまうので、忘れずに「自転車」を頭につけるのがおすすめです。そのものずばりの書名を持つ書籍もあります。

「世界を変える」とはおおげさに聞こえるかもしれませんが、実際のところ世界では自転車活用を大々的に推進している都市が少なからずあることが、番組の中で紹介されています。ロンドンでは自転車を最重要の交通手段としてとらえなおしたということです。オランダでは4人に1人が自転車通勤しており、韓国では大統領自ら自転車に乗って自転車活用をアピールしています。

ひるがえって我が国では、自転車レーンを設置しようという動きがあるものの、どうもはかばかしくない......ということが議論されています。詳しくは番組ページの「出演者の発言」をご覧ください。

問題点は大きく2つあるように思います。

ひとつは、昭和40年代頃に自転車が歩道を走ることを認めてしまったことにより (それ以前は車道を走っていた、のだそうです)、自転車は歩行者と同じようなものだという誤解が蔓延してしまったこと。これは他国にない現象で、大変困ったものです。自転車は車両の一種であって、だから車道を走るのは当然のことであり、道路交通法も元々そのようになっています。しかし、歩道を走るようになってしまったことで、自転車の可能性が大きく制限され、さらに歩行者にも自転車自身にも危険を増大させてしまっています。自転車は車道 (の左側) を走らなければなりません。

もうひとつは、自動車を減らすという発想なしに自転車活用を唱えても意味がないということです。ロンドンの事例を見るとよく分かるのですが、自転車というのは自動車の機能の一部を代替するものであるという発想が根底にあり、環境問題渋滞問題医療費問題等いろいろな点から勘案して自動車よりも自転車を使う方が望ましいので、自動車から自転車へと転換していくのだ、という方針が必要なのです。今の日本を見ていると、「自転車を使ってもいいけど、なるべく自動車の邪魔をしないように。車道の王様は自動車だから」という雰囲気が見てとれてしまいます。これではいけません。自動車を減らすための自転車なのです。ロンドンでもアムステルダムでもコペンハーゲンでもそうです。

番組で使われていた「自転車革命」という用語は伊達じゃない。自動車が支配的であった既存の交通の構造を変えようとするからこそ「革命」なのです。そこを理解しないといけない。

さてこの革命は社会や自分にとって良いものでしょうか。思惑通りにいくならば、渋滞を緩和し、医療費を減らし、駐車場不足の問題を緩和し、化石燃料の燃焼を減らし、交通事故の悲惨を減じることにつながります。そうしたことに賛成である人にとっては、この革命は良いことである筈です。

この度の大地震とそれにともなう交通機関の混乱を受けて、東京近辺では自転車が増えているようです。大地震当日は電車がほとんどストップして「帰宅難民」が大量発生した中、自転車を勤務先の近くで買ってすぐ乗って帰った人もいたそうですし、週明け月曜日は電車の本数がかなり減っていたためか自転車が多く走っていました。電車が割合回復してきた今日でも、いつもより多くの自転車を見かけています。

普段自転車にあまり乗っていなくて、自転車って案外便利かもしれない、と今回見直したという人には、自転車の正しい乗り方、ルールというものを、是非認識してほしいと思います。ルールを守らない自転車が増えるのは勘弁してほしいですから。ルール違反は事故の元です。

自転車の著作を多く持つ疋田智さんのメルマガに、5点挙げられています。この5点は是非とも遵守していただきたいと、私も思います。

詳しくはメルマガ本文を読んでほしいのですが(420号421号)、ここに簡単に紹介しておきましょう。

  1. 左側通行――まず断然一番目にお願いしたいのは"左側通行"だ。これはもう厳守。絶対の鉄則である。
  2. 信号を守る――思いの外、守られていないのがこれだ。
  3. 飲酒運転をしない――自転車も飲酒運転はダメだ。飲んだら乗ってはならない。
  4. 夜間無灯火をしない――夜間無灯火こそが、夜の事故の主因となっている。
  5. 歩道はあくまで歩行者優先、その上で徐行――歩道はあくまで「走らせてもらっている」立場なのだ。

また、「自転車の車道でのルールは、原付とほぼ同じである」とも言っています。これは分かる人には分かりやすい考え方でしょう。

車道を走るのか歩道を走るのか、という点が上のリストでは(意図的に)入っていないのですが、この点について付け加えておくと、私自身はほぼ常に車道(の左端)を走っています。歩道に上がる必要のあるときは大抵、押して歩いています。

なお、上の5点は、今回自転車を見直した人だけでなく、普段乗っている人も含めて、皆が守ってほしいことでもあります。

今書店に並んでいる雑誌「自転車人」2011冬号に、「ロンドンが自転車都市に大変身!」と題した6ページの記事が掲載されています。ここ10年くらいでロンドン市内の自転車が飛躍的に増えたという話です。

ヨーロッパの自転車活用先進国、オランダやドイツ、デンマークに比べて、イギリスは元々あまり街中で自転車を見かけなかったそうです。しかし、今はどんどん増えている。

ロンドンが変われた原因のうち日本にないものとして、3つをこの記事では挙げています。①政治と行政が自転車に積極的になったこと、②マスコミが自転車のメリットとあるべき姿を正しく理解し、自転車や徒歩へのモーダルシフトを応援してきたこと、③イギリスでは自転車はどんなにマイナーな存在でも常に「車両」であったこと、です。

①と②からすると、ただ何となく自転車が増えたのではなく、自転車を増やすのが良いことだという明確な意志が存在したことが分かります。

また③は少々説明が必要かもしれません。日本では1970年代に自動車が急増した時期に、応急処置としてそれまで車道を走っていた自転車を歩道にあげるということを行いました。これが日本では今もダラダラと続いているわけですが、イギリスにはそういう歴史がなく、自転車は車道を走る車両であるという認識が、たとえ自転車が少数であるときでも、常になされていたということです。

この記事には写真が多く掲載されています。そこで目につくのは、自転車レーンはもちろんとして、信号待ちのときは自転車が自動車よりも前に出て止まるように線が引かれていることです。こういうのは実際に乗っていれば必要性が分かるものです。自転車に乗らない人が頭だけで考えたものでなく (日本の自転車政策にはそういうのが多いらしく聞きます)、きちんと実用性が考慮されていることが伺えます。

さて、日本の都市はどうするのでしょうね。

疋田智さんのメルマガで紹介されていた毎日新聞の記事がこれ。

出だしはこうです。

自転車事故の7割は交差点で発生し、その主要因は自転車の歩道走行とみられることが、元建設官僚で住信基礎研究所の古倉宗治研究理事の分析で分かった。

そしてこう続きます。

自転車を除く交差点での事故率は全体の4割強にとどまり、自転車の事故率は突出。大半は車との事故で、歩道を走る自転車が交差点に進入した際、車道走行時よりも車の死角に入りやすいためだという。自転車の車道走行は危険視されがちだが、むしろ歩道走行の方が危険性が高い実態が浮かんだ。

直感的には、自転車が車道を走っていると危険だと思うかもしれません。しかし、実際には歩道走行の方が危険だというのです。

これにはきちんと理由があります。詳しくは記事を見てほしいのですが(わかりやすい図入りです)、自転車が歩道を走っていると自動車から見落しやすく、それが交差点での事故につながるのです。

理屈としては納得できます。しかし、実際のところこれを人に説明するのはある点で難しい。

なぜかというと、車道の方が安全だと人に説明して、その相手の人が実際に車道を走って事故にあったら、あわせる顔がないからです。だから、自分では車道を走っても、他人に対して車道を走れとはなかなかいいづらい。

この毎日の記事は、そういう感情を克服して、あくまで論理に徹して「歩道の方が危険だ」と述べているところが画期的だと思います。

ここで説明されている歩道走行の危険性は、京都や東京の一部で見られる、歩道上に設置される自転車レーンに対しての警告ともなるといえるでしょう。なぜなら、歩道上のレーンを自転車が走っていると、交差点を渡る際には、単に歩道を走っているのと何ら変わりなくなるからです。歩道上のレーンは自転車の事故を減らすという意味では疑問符がつくことになります。

なお、自転車の歩道走行が危険の種だということは、疋田智『自転車の安全鉄則』でも述べられています。自転車交通の安全について興味があるならこの本は必須といえるでしょう。

以前紹介した『自転車ツーキニストの作法』のp.90に、社団法人 日本自動車工業会 (自工会) が作成したレポートが取り上げられています。そのレポートというのは誰でも読めるようウェブで公開されています。「自転車との安全な共存のために」と題されたものがそれです。

このレポートでは、ざっといえば、車道の左端に自転車レーンが設置されるべきこと、自転車は車道を走るべきこと、自転車のルールが周知徹底されるべきことが提言されています。

自動車の運転手の中には、最近増えてきた車道を走る自転車(しかし1970年代まではこれが普通だった)を邪魔だと思っている人もいるのでしょうが、ほかでもない自動車の業界団体が、自転車は車道を走るべしと正論を吐いているのです。これは興味深いことだと思います。

それも、単にお題目として唱えているのではなく、なぜ自転車の歩道走行が危険か (お間違えなきよう。車道ではなく、歩道走行が危険なのです) を統計を援用しながら分析しつつ説いているのです。これは大変説得力があります。

ぜひ、この資料を、各市町村の道路整備の関係者には読んでほしいと思います。自転車レーンを間違った形で作ってしまう前に!

もちろん、自転車に乗る人も読むと良いと思います。どういうところで事故が起こるのか、何が本当に危険なのか、この資料を読んで研究すれば、自分の身を守ることにつながります。

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